TPP11などの大規模なFTAが発効される見通しにある現状において、FTAの活用の巧拙が企業経営に大きな影響を及ぼす。これから必要とされるFTAの基本的な知識がまとまった一冊。
■FTAとは
経営者が通商ルールの変化に目をそむけ、思考停止したまま「昨日と同じ」マネジメントを続けていると、ある日突然、経営環境は「冬の季節」へと突入する。だが通商ルールの変化に備えていれば、それを千載一遇のチャンスとして生かすこともできる。
通商ルールの中で最もニュースに登場することの多い「FTA」とは、「Free Trade Agreement」の頭文字を取ったもの。「自由」な「貿易」を実施するための「協定」だ。
FTAを巡るニュースのほとんどは、通商の中でも「通商交渉」に特化しており、企業の「通商リテラシー」は低い。JETROの調べによれば、2017年時点でも、FTAを活用している企業の割合は、調査対象企業の内45%に留まっている。中小企業などを中心に、FTAに対する理解が不足しているためだ。
ビジネスパーソンが本当に意識しなければならないのは、交渉した「後」の情報だ。
FTAによって、企業のビジネスが変わる。FTAにはメリットもあればデメリットもあるため、以下の6つのアプローチが必要である。
①FTAの「使い漏れ」解消による利益創出
②サプライチェーン最適化による利益創出
③コンプライアンス対応によるリスク回避
④市場開放に伴う事業機会の探索による利益創出
⑤海外ローカル企業へのM&Aによる利益創出
⑥貿易対抗措置によるリスク回避
著者 羽生田慶介
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員/パートナー 多摩大学大学院 ルール形成戦略研究所 副所長/客員教授 経済産業省 通商政策局にてアジア諸国とのFTA交渉に従事(ASEAN地域担当)。キヤノンにて、グループ中期経営計画、M&A担当。A.T. カーニーにて経営戦略、事業戦略、新規事業開発、M&Aデューディリジェンスのプロジェクトを数多くリードした後、2013年にデロイト トーマツコンサルティングに参画。 経営戦略・事業戦略の豊富なコンサルティング経験と規制制度に関する深い理解を背景に官民のルール形成やロビイング支援に注力。通商・国際ルール(TPP、BREXIT、FTA)関連の専門家として、テレビ・雑誌・新聞などでのコメント多数。 経済産業省「新たな基準認証の在り方に関する研究会」委員(2016年)、資源エネルギー庁「電力・ガス分野から考えるグローバルエネルギーサービス研究会」委員(2017年)、経済産業省「原産地規則勉強会」委員(2018年)、経済産業省「国際ルール形成戦略研修」講師(2018年)などを務める。
帯 元経済産業大臣 甘利 明 |
帯2 三菱ケミカルホールディングス会長 小林 喜光 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 本当は怖いFTA残酷おとぎ話 | p.2 | 7分 | |
第1章 導入編 まず理解すべき通商の基本 | p.19 | 56分 | |
第2章 実践編 すぐ始める通商対応 | p.97 | 78分 | |
第3章 戦略編 激動の通商環境を生き抜く | p.205 | 34分 | |
おわりに | p.252 | 6分 |