テレビ番組のリサーチャーである著者が、必要な情報を手に入れるために大切なこととノウハウを紹介している一冊。闇雲にGoogleで検索するだけでは、大事な情報は得られないと説きます。
■クライアントのニーズを把握すること
クライアントが何を求めているかを理解することが、リサーチの第一歩である。どんなに分厚いリサーチ報告書が完成しても、クライアントから望まれているものを出さなければ意味がないからである。
最初にリサーチするべきは、クライアントや上司、つまりその情報を使って何かをしようとしている人である。ニーズをつかむには、最終的な受け手側の立場に立つことを常に念頭に置かなければならない。番組リサーチの場合、クライアントはテレビ番組制作者だが、その向こうのテレビ視聴者のニーズを計算できるようにならないと、有効な情報は提供できない。
お題を受けた時、「何を調査するのか?」だけでなく、「この調査を何に活かすのか?」「この調査で何を作るのか?」ということをクライアントや上司と共有することがニーズをつかむコツである。ニーズをつかむ上で欠かせない項目については、多分こうだろうという推論ではなく、質疑を重ね、ピンポイントで裏付けをとること。
■まずリサーチの戦略を立てよ
調べ物をする上で、いきなり図書館に出かけて本を手に取ってみたり、インターネットで検索してみても、たどりつきたい答えをズバリ得られる確率は低い。偶然見つけた情報が、リサーチをずれた方向に向かわせてしまうこともある。気がついたら目的とほとんど関係のないリサーチに貴重な時間を費やすことにもなりかねない。求める情報がそこにあるのか確信を持たずに時間を費やすことは、ある意味賭けである。
Googleに思いつきのキーワードを打ち込む前に、図書館に行く前に、考えることはたくさんある。「どこをどのように探すのか」、つまり「リサーチ戦略」を立てることから始めるべきである。そのためにまず必要なのが、クライアントのニーズをつかむことである。
著者 喜多あおい
1964年生まれ。テレビ番組リサーチャー ズノー 執行役員、知的生産計画室「辞書と事典の資料室」室長 大学卒業後、出版社勤務、新聞社での有料新聞記事データベース構築、作家秘書などを経て、1994年よりテレビ番組リサーチャーの活動を開始。 放送ウーマン賞2014受賞
帯 放送作家 鈴木 おさむ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ テレビ番組リサーチャーの仕事とは? | p.11 | 4分 | |
1章 脳内に「情報地図」を描く―集める前に「居場所」を作り、戦略を練る | p.21 | 18分 | |
2章 プロのネタ取りは五つのソースで!―書籍、新聞、雑誌、インターネット、対人取材で「網羅」→「分類」 | p.61 | 39分 | |
3章 集めた資料を「情報」に変える―相手に伝わる「報告書」と、必勝「プレゼン」術 | p.147 | 17分 | |
4章 仕事の質を上げる!情報に強くなる習慣術―あなたの情報力はたった一分の会話でわかる | p.185 | 28分 | |
エピローグ 情報は生きている | p.247 | 10分 |