ファッション関連産業の女性活躍支援に取り組んでいる著者が、いかに女性がキャリアを築くかについて、アドバイスをまとめた一冊。多くの壁を乗り越えてきた著者の考え方がつまっています。
■キャリアの壁
「キャリアの壁」は、色々な場面で感じられる。ガラスの天井という言葉は、よく知られるように、女性やマイノリティが組織内で昇進しようとすると、見えない限界にぶつかる「環境の壁」。こうした社会慣習に加え、個人が自分独自の人生を歩む自信の無さからくる「心の壁」。
「環境の壁」の最大のものは子育てや介護だが、これは家族のチームプレイと創意工夫で乗り越えられる壁である。「組織の壁」は、時代の変容をテコに、個人や企業の考え方や行動を変えることで突破できる。そして、「年齢の壁」は、人生100年時代と言われる現代を、どんなアンビションを持って、自分の人生を全うするかが、個人に問われているチャレンジである。
■人生とキャリアに目的を持つこと
キャリアをスタートさせる時、あるいは転職したい時に、ハードルとなるのは就活である。採用する相手あってのことなので、なかなか自分の思い通りにはいかない。それでも「自分はこれをやりたい」という強い目的と思いを持っていれば、厳しい現実の中でも打開策は見つかる。
人生やキャリアは選択の積み重ねである。大小含めて様々な選択肢があり、偶然や運も作用する。その中で一つひとつの意思決定をする時には、何らかの拠り所が必要になる。
迷った時に戻るべきは、自分の目的である。目的に向かってデザインされていないキャリアあるいは人生はコントロールしようもなく、行きたいところにたどり着くこともできない。だからこそ、自分は何のために仕事をするのか、どんな仕事をしたいのかというグランド・デザインは、なるべく早い段階で考える方がいい。
目的を明確に持ち、そのために必要な情報を収集し、準備した上で、情熱と信念を持って説明すれば、心を動かしてくれる人はどこかに必ずいるはず。だから、ルールに当てはまらないから無理だと、頭から決めつけないこと。世の中は、二者択一ではないし、当初の思い通りにいかないとしても、何か方法はあると思って探してみることである。
著者 尾原 蓉子
1938年生まれ。一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション名誉会長 金沢美術工芸大学大学院 名誉客員教授 ハリウッド大学院大学 特任教授 AOKIホールディングス 社外取締役 経済産業省ファッション政策懇談会 座長 大学卒業後、旭化成入社。1967年、フルブライト奨学生として米国FITに留学。1968年の訳書でファッション・ビジネスの概念を日本に初めて紹介。旭化成に復職し、ファッション企画室長などを歴任。 2009年、米国F.I.T.から「生涯功労大賞」、毎日新聞社から「毎日ファッション大賞・鯨岡阿美子賞」など
帯 ファーストリテイリング 代表取締役 柳井 正 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 4分 | |
第1章 未来は自分でつくるもの | p.21 | 25分 | |
第2章 家庭か仕事、選ぶ時代は終わった――環境の壁 | p.67 | 26分 | |
第3章 時代の変化を捉え、チャンスをつかもう――組織の壁 | p.115 | 35分 | |
第4章 キャリアにゴールはない――年齢の壁 | p.179 | 39分 | |
おわりに | p.250 | 3分 |
仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント [Amazonへ] |