上司はどのように部下を褒めて、叱ればいいのか。親やすさは大切でも馴れ馴れしいのはNG。部下との適切なコミュニケーションのポイントがたくさん盛り込まれた一冊。
■「褒める」こと、「叱る」ことよりも大切なこと
部下は上司から「自分に深く関心を持ってもらうこと」を求めている。褒められることを望んでいるわけでも、叱られることを嫌がっているわけでもない。自分のことをよく見てくれて、関心を持ってくれている人からであれば、叱られても愛を感じると言う。逆に関心を持ってくれず、自分のことをよく見てもいないのに、適当な表現で褒められると何も響かない上に信頼もできないと言う。
相手に関心を持ち、決めつけることなく、よく観察をする。わからなければ直接質問をする。その姿勢を存分に伝えた上での指導であれば、部下にその場でうっとうしく思われたとしても、嫌われることはなく、「この上司がいて良かった」と思ってもらえる。
今の若い世代の人たちは、私たちが思っている以上に冷静に上司を見ている。部下の成長を心から願うからこそ、部下を褒めることも叱ることも本気でできる。
■型があるから型破り。型がなければ、それは形無し
型がある人間だから型破りができるのであって、そもそも型が無いのであれば単なる形無しにしかすぎない。言葉づかいや敬語にしても、学んで知った上で意図的に崩しているのは「型破り」だが、知らずに崩れてしまっている挙句に敬語なんてと開き直るのは「形無し」でしかない。
「型破り」のできている人と「形無し」になってしまっている人の決定的な違いは、型破りができている人たちは「他人に自分の価値観ややり方を強要しない」という点にある。
これはそもそも自分の持つ影響力を理解しているということに由来する。自分の立場や役割の大きさを認識しているため、自分の言動行動を客観視し、自分に厳しく生きている。「型」を知り、異なる価値観に触れるという「破」を経て、その上で自分の生きる道を選んで「離」に達している。そのため、自分の価値観を他人や部下に対して無理に押し付けることはなく、あくまで相手にその選択を委ねることができる。
著者 桑野 麻衣
1984年生まれ。コミュニケーション講師 大学卒業後、全日本空輸(ANA)に入社。7年間で100万人を超えるお客様サービスに携わる。最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。また、ANA在籍中にオリエンタルランドに出向し、ディズニーのサービスや教育を学ぶ。 2013年にジャパネットたかたに転職。SNS広報担当、研修担当に従事。 その後、再春館製薬所グループ企業にて接遇マナー講師として入社し、教育研修を年間200本企画し、登壇後に研修講師として独立。 接遇マナーやコミュニケーション、人材育成等の企業研修や各種セミナー、大学生や経営者、医療法人向けの講演など幅広く活動。 「心に火がつく研修」と評され、年間200本の企業研修・セミナー・講演を行う。
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 3分 | |
序 章 型破りな上司と形無しな上司 | p.13 | 3分 | |
第1章 男性・女性、年上・若手、論理的・感情的、どんな人でも伝わる話し方 | p.19 | 52分 | |
第2章 部下が生まれ変わったかのようにやる気を出し始める、上手な聴き方 | p.115 | 24分 | |
第3章 部下を元気にする上司のマインドセット | p.159 | 34分 | |
おわりに | p.222 | 1分 |