深い学びを得るためには、学習するために必要な体系だった手法をとる必要がある。モチベーションを持ち、いかに知識を広げ、学ぶを深めていくかを、様々な科学的知見を取り入れながら、まとめている一冊。
■学習とは何か
学習とは「理解のプロセス」「メソッド」「体系」である。学習とは1つのことへの集中と計画性と内省を伴う活動であり、学習の方法がわかれば習得の度合いと効果は大きく上がる。
成功するには単純な手順やノウハウを身につけるだけでは不十分だ。現代の世の中では学び方を知り、思考のスキルを身につけなければならない。知識は学習の土台だ。記憶も強力な学習ツールであることに変わりはなく、今持っている知識が、その人の潜在的な学習能力を予測する最も確実な手がかりになる。これを「知識効果」と呼ぶ。専門知識を習得するには、まず基本を自分のものにしていなければならない。
しかし、事実情報を得ることは出発点にすぎない。学習に取り組む際には関係性を理解する、つまり原因と結果を見極め、類似性に気づくことも必要だ。学習の目的はある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたって目指すのは思考の体系を学ぶことである。
■学びが深まる6ステップ
①価値を見いだす
学びたいと思わなければ学ぶことはできない。専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があるとみなさなければならない。さらに、意味づけを行わなければならない。学習とは即ち対象の意味を知ることである。
②目標を設定する
知識を習得する初期の段階においては、集中が重要だ。何を学びたいのかを厳密に見極めて、目的と目標を設定しなければならない。
③能力を伸ばす
練習にも、他人と差がつく力をつけられるようなものがある。学習のこの段階では、スキルを磨き、パフォーマンスを向上させることに特化した手段を講じる必要がある。
④発展させる
この段階では、基本から踏み出して、知識を応用したい。スキルと知識に肉付けして、より意味のある形の理解を形成したい。
⑤関係づける
すべてがどう噛み合うかがわかるフェーズである。私たちは結局、個別の事実や手順だけを知りたいのではなく、その事実や手順が他の事実や手順とどう関わりあうかを知りたいのだ。
⑥再考する
学習には間違いや過信がつきものだから、自分の知識を見直し、自分の理解を振り返って、自分の学習したことから学ぶ必要がある。
著者 アーリック・ボーザー
米国先端政策研究所 シニアフェロー 学びについての研究と発信を行っており、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙など、多数のメディアに記事が掲載されている。 ビル&メリンダ・ゲイツ財団のアドバイザーも務める。
日経ビジネス 東京大学大学院経済学研究科教授 柳川 範之 |
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
イントロダクション | p.9 | 18分 | |
第一章 価値を見いだす | p.32 | 41分 | |
第二章 目標を決める | p.84 | 43分 | |
第三章 能力を伸ばす | p.138 | 38分 | |
第四章 発展させる | p.186 | 33分 | |
第五章 関係づける | p.228 | 38分 | |
第六章 再考する | p.276 | 37分 | |
エピローグ | p.323 | 9分 |
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