心理学とネットワーク理論をもとに、ヒット商品を生み出すために必要なことを解説している一冊。
■どうしたらアイデアを届けられるのかが重要
多くのヒット曲、人気テレビ番組、ヒット映画、ネット上の流行、誰もが使っているアプリなどは、突然出現したかに見えるかもしれないが、そういう文化的カオスも、必ず何らかのルールに支配されている。それは、人々が何か好きになる心理、アイデアが広まる社会的ネットワーク、カルチャー市場の経済学などである。
何かが他のグループに広がっていく場合にしろ、グループ内で拡散していく場合にしろ、それがどうやって広まるのかが非常に重要だが、それは正しく理解されていないことが多い。見たこともない数多くの歌や書物や商品のことを、じっくり考えてみようとする人は滅多にいないからだ。
新しい何かを世に出そうとする人が最初に考えなければならないのは、「どうしたらこのアイデアを『聴衆』に届けられるだろうか?」である。さらに深く考えれば「どうすれば私の『聴衆』が、そのまた『聴衆』に話したくなるようなものを作れるだろうか?」が次の問題になる。この問題を解く方程式はない。しかし、どのように人々の関心を集め話題に上がらせるかに関しては、いくつか基本となる事実が存在する。ヒットメーカーになるためには、人々のネットワークを理解することが不可欠である。
ほとんどのヒットには、それを生み出した人だけでなく、その過程でヒットを可能にした表に出ない人たちの、消し去ることのできない印影が刻み付けられている。
ヒットとは、ある意味を持った表現が、1つのネットワークから別のネットワークに伝えられるものであり、何人ものクリエイターによって形作られ、無数の小さな熱狂者のグループに届けられるものだ。
ヒットは、遊びを提供したり、新奇なものを取り込んだり、古いものに新風を吹き込んだり、感情を揺さぶったり、そこに何らかの意味を創出したりする役目を果たし、それは昔からさほど変わっていない。ただ昔と今とで違うのは、ヒットを生じさせる方法だ。今は、一介の個人の能力で膨大な人数の聴衆を得ることも可能だし、ディズニーのように巨大企業がその力をもって世界的な「全知」を達成することも可能だ。
著者 デレク トンプソン
アトランティック誌 編集主任 経済・メディア関連の記事を執筆する。CBSやMSNBCなどテレビ番組への出演や、グーグルの社内プログラム「Talks at Google」での講演もこなす。 『インク』誌と『フォーブス』誌が選ぶ「30 under 30」に選出されている。
週刊エコノミスト 2018年10月23日号 |
帯 作家 ダニエル・ピンク |
帯2 ペンシルバニア大学ウォートン校 教授 アダム・グラント |
帯3 映画プロデューサー サイモン・キンバーグ |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.9 | 171分 | |
第1章 人はなじみのあるものを好む | p.30 | 288分 | |
第2章 MAYAツール | p.62 | 297分 | |
第3章 ミュージック・オブ・サウンド | p.95 | 324分 | |
第4章 物語の力 | p.131 | 198分 | |
第5章 ヒットの暗い一面 | p.153 | 153分 | |
第6章 ファッションの誕生 | p.170 | 324分 | |
第7章 ロックンロールと偶然性 | p.208 | 234分 | |
第8章 バイラル神話 | p.234 | 243分 | |
第9章 「シェア」の心理学 | p.261 | 252分 | |
第10章 予言の経済学 | p.289 | 243分 | |
第11章 メディアの100年史 | p.316 | 306分 | |
第12章 ヒットの未来 | p.350 | 288分 |
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