リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで、人事・採用責任者を歴任してきた著者が、成功企業に共通する組織運営のノウハウを紹介している一冊。
■企業のタイプに応じて、人事の一貫性を決める
人事の機能は一般的に「採用」「育成」「配置」「評価」「報酬」「代謝」の6つに分けられる。これらの6つの機能を担う上で重要になるのが「人事の一貫性」である。人事に一貫性がないと、各機能がバラバラに最適化してしまい、全体として効果を打ち消し合って、パフォーマンスが上がらない。
一貫性の「軸」は、事業戦略が最も遂行できるように置く。軸を決める上で考慮すべきポイントは、次の2つのタイプに分けることができる。
①安定・成熟事業型
勝ちパターンが決まっており、会社の様々な方針を大きく変える必要はない。むしろ今のやり方をより早く、安く、効率的に実施するための改善型の行動が求められる。長期で人を雇用して自社内で育成するのが合理的。
②変革・新規事業型
勝ちパターンが見えない中で事業をしている。業務のスタイルで求められるのは、ゼロベースでモノを考えて抜本的な方針転換も考慮する改革型の行動である。組織運営も協調性を重視し過ぎて個々人の個性を殺すのはNG。自律的で自由なマネジメントスタイルが適している。
多くの企業は、アメーバ組織やティール組織といった成功企業の組織論、成果主義やフリーエージェント制といった人事制度を表面的に導入しようとする。
しかし、そうした組織論や制度をそのまま導入するだけでは決してうまくいかない。すべての会社にとって理想的な組織論や制度など存在しないからである。会社の置かれている状態で最適な組織や制度のあり方は変わってくる。逆にいえば、成功企業は、事業モデルや市場環境、人員構成や企業文化に基づいて、自社にフィットする組織や制度を選んでいる。
著者 曽和 利光
1971年生まれ。人材研究所代表取締役 社長 上智大学 非常勤講師 日本採用力検定協会 理事 日本ビジネス心理学会理事 1995年、リクルートに入社し、以降十数年に渡り同社の人事部にて、採用・育成・制度・組織開発・メンタルヘルスなど、様々な人事領域の業務を担当。最終的には人事部ゼネラルマネジャーとして人材採用の責任者となり、現在のリクルート幹部やリクルート出身の起業家、ビジネスリーダーを数多く発掘、採用。その後、開業直後のライフネット生命や、上場を目指し急成長中のオープンハウスの人事責任者を歴任。 2011年、人材研究所を創業。
帯 Jリーグチェアマン 村井 満 |
帯2 神戸大学大学院准教授 服部 泰宏 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 3分 | |
1章 そもそも、人事の役割とは何か | p.14 | 11分 | |
2章 組織の成長に応じて、人事の考え方は変わる | p.32 | 11分 | |
3章 採用と代謝は一つの流れで考える | p.50 | 9分 | |
4章 配置によって人を育成する | p.64 | 12分 | |
5章 評価や報酬では納得感を担保する | p.83 | 23分 | |
6章 採用計画はどのように立てるのか | p.120 | 8分 | |
7章 候補者集団を形成し、選考する | p.132 | 13分 | |
8章 面接の質を向上させる | p.152 | 13分 | |
9章 優秀層を確保する | p.172 | 18分 | |
10章 中途人材や外国人を採用する | p.201 | 10分 |