34年間、財務官僚として働いてきた著者が、役人に必要な能力と心構えを紹介している一冊。
■役人の基本は文章
正確な文章を書くこと、その文の示される時期、相手方、環境に応じた文書をつくることは役人の基本である。役人たるもの、優れた役人たらんとするものは、すべからく作文修業に心血を注ぐべきである。
特に留意すべきは、ある事項を説明する時に、それに最もふさわしい表現はただ1つであるということであり、それぞれの状況において最も適切な文書はただ1つであるということ。作文修業は、いわばこの唯一のものを求めていくプロセスである。
作文修業は、単に良い文章を書くためのものではない。それは同時に、他人の書いた文章や相手方から示された文書を正確に理解するためのものである。
その時代の、その国のおかれている環境に最も適した官僚制度を持ち、それを的確に動かしうる役人を持つことは、国の存立に関わることである。
役人は、アマチュアであってはならない。彼らは、公務員であることにおいてプロフェッショナルでなければならない。そして、彼らをプロフェッショナルたらしめているのは役人としての技術である。そして、その技術たるや法律、土木、経済といったその専門分野についての技術に尽きるのではない。
正確な文章を書くこと、論理に基づいてキチンとした交渉をすること、と行ったプロフェッショナルな役人として当然の技術を持っていなければならないのである。
役人たる者、常にこの技術の修得、質の向上に努めなければならない。その道の蘊奥を究めるべく、日夜研鑽に励まなければならない。そして、果たして自分は己の給与に見合うだけの技術を持っているだろうか、それに値する働きをしているだろうか、ということを、常に自らに問いかけなければならない。
著者 久保田 勇夫
1942年生まれ。西日本シティ銀行会長 西日本フィナンシャルホールディングス会長 大学卒業後、大蔵省(現・財務省)入省。課長補佐時代は税制改正、財政投融資計画、省内調整など国内の仕事を多く手がける。 1983年、財務官室長に就任し、以降、国際舞台でも活躍。サミット、G5、G7などの国際金融交渉にかかわり、議長として1995年の日米金融協議をまとめる。国際金融局次長、関税局長を経て国土庁事務次官を最後に2000年に退官。 都市基盤整備公団副総裁などを経て、現職。
帯 作家 佐藤 優 |
週刊ダイヤモンド 2018年 12/15 号 [雑誌] (日産 最悪シナリオ) |
週刊ダイヤモンド 2018年 12/22 号 [雑誌] (超訳! 学問のすすめ) リブロプラス 商品部 昼間 匠 |
PRESIDENT (プレジデント) 2019年2/18号(人を動かす言葉大全) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.18 | 3分 | |
第1章 文章編 | p.25 | 23分 | |
第2章 交渉編 | p.69 | 20分 | |
第3章 組織編 | p.107 | 36分 | |
第4章 人事編 | p.175 | 12分 | |
第5章 健康編 | p.197 | 21分 | |
第6章 世界の役人たち | p.237 | 26分 | |
あとがき | p.287 | 2分 |
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