デジタル化が進む中で、企業はどのようなビジネスモデルを目指すべきか。
MIT教授が、デジタル化が進む中で企業が生き残るためにとるべき戦略フレームワークを紹介している一冊。
■デジタル化の影響
デジタルトランスフォーメーションは技術の問題ではなく、変化の問題である。また起こるかどうかではなく、いつ、どのようにして起こるかという問題である。迫りくるデジタルエコノミーにおいて、多くの企業は過去にうまくいった経営手法を少し変えたぐらいでは成功することはないだろう。
大企業は大きな顧客基盤と高い収益性を持っているが、顧客体験に統一性がないことがあるので、デジタルディスラプションの標的となるのは特に大企業の方である。デジタル化された世界で成功するには、あらゆる規模の企業がビジネスモデル、従業員、組織構造、重要なコンピテンシー、企業文化を含めて自社を改革し、組織に大幅な変更を加える必要がある。
デジタルディスラプションは「新規参入者」「伝統的ライバル企業の新たなビジネスモデル」「業界を越える」の3つの形で到来する。多様なデジタルディスラプションによって引き起こされる混乱の大きさを考えると、それに対処しないわけにはいかない。今日、事業を行う上でそれは必須である。
競争優位は、次の3つの内の1つあるいは、複数の要素から生まれることがわかっている。
①コンテンツ
製品や情報
②顧客体験
コンテンツと顧客との間で生じるインタラクションの質。コンテンツの使いやすさや、顧客への見せ方に左右される。相乗効果を狙ってセットで製品を提案したり、複数のチャネルを横断したインタラクションとなることが多い。
③プラットフォーム
自社のデジタルプロセス、データ、インフラや外部のサービスを通じて、コンテンツを顧客に届ける方法
将来的にデジタルエコノミーの中で戦っていくためには、アマゾンのように、最終的に競争優位の源泉3つすべてでライバル企業より秀でる必要がある。
しかし、コンテンツ、顧客体験、プラットフォームすべてにおいて同時に能力を獲得するのは至難の業である。特に会社が元々は物理的な商品・サービスを提供する企業で、デジタル企業にシフトしようとする場合には、次世代企業を作り始めるにあたって、次の事項に留意しながら、まずは1つか2つの分野のみに注力すべきである。
・新たなデジタル関連の収益を上げることが目標であれば、デジタルコンテンツを拡充することから始める
・クロスセルや顧客単価を増やすことが目標であれば、デジタル顧客体験を向上させることに重点を置く
・効率性と柔軟性を高めることが目標であれば、デジタルプラットフォームを構築してそれを共有し、活用することに重点を置く
著者 ピーター・ウェイル
MITスローン・マネジメント・スクール情報システム研究センター(CISR)議長 メルボルン大学メルボルン・ビジネススクール情報システム・マネジメント講座教授、ジョージア州立大学経営管理学部客員教授などを経て現職。 世界各国のMBAプログラムやエグゼクティブ教育プログラムなどにおいて、ITのビジネス価値を創造する方法に焦点を当てたマネジメント講座・講演を多数主催している。 米国メディアのジフ・デイビスが選ぶ「IT業界で最も影響力のある100人」で、学術界では最高位の24位に選出された。
著者 ステファニー・L・ウォーナーMITスローン・マネジメント・スクール情報システム研究センター(CISR)リサーチサイエンティスト 経済のデジタル化に伴う組織変革を企業がどのように成し遂げるのかを主に研究している。コネクティビティや顧客体験といった評価が難しいデジタルファクターを測定し、企業業績と関連づけることに強い情報を傾けている。
帯 ヤンマー 取締役 矢島 孝應 |
帯2 東京海上日動火災保険 常務取締役 稲葉 茂 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 次世代企業の構築 | p.13 | 20分 | |
第1章 デジタル化がもたらす脅威と事業機会とは何か | p.39 | 19分 | |
第2章 あなたの会社の未来にふさわしいデジタル・ビジネスモデルはどれか | p.64 | 26分 | |
第3章 デジタル競争優位を生み出すものは何か | p.99 | 35分 | |
第4章 モバイルやIotを使ってどのようにつながるか | p.145 | 38分 | |
第5章 あなたの会社には自社を改革する能力があるか | p.195 | 32分 | |
第6章 あなたの会社に変革を起こすリーダーシップはあるか | p.237 | 23分 | |
終 章 本書を振り返っての整理 | p.267 | 8分 |