地方局アナウンサーから、史上最年少36歳で福岡市長に就任した著者が、選挙前から市長になった現在までを語った一冊。様々な福岡での取り組みや、リーダーとしてあるべき心構えが紹介されています。
■福岡市は最強の街となった
就任から8年、福岡市は今、全国で最も活気に溢れる街と評価されるようになった。国際会議の開催件数は、全国の政令指定都市の中で1位。クルーズ船誘致と港湾エリアの整備により、クルーズ船の寄港回数も横浜を抜いて日本一。新しいビジネスを生み出すスタートアップに力を入れて、現在4年連続での開業率7%台は全国唯一である。政令指定都市で唯一、税収が5年連続過去最高を更新し続けており、「天神ビッグバン」などのプロジェクトで地価の上昇率も東京都や大阪府のおよそ倍。人口増加率も東京を抜いて1位となった。
政治家がリスクを負わず、安定した行政運営をしているように見せる方法が1つだけある。それは「何もしない」ことである。
逆にいうと「何かをする」つまり「仕事をする」ということは、現状を改善しようとすること、変化を促そうとすることに他ならない。それは8割の人が喜んでも、2割の人が嫌だと思うことかもしれない。「ほとんどの人」に喜ばれることはあっても、「全員」が喜ぶ、「全員」に好かれる完璧な施策などというものはない。
何かを行うと、その結果に納得した多くの方は「サイレントマジョリティー」になるが、納得できない人は大きく声を上げることになる。マスコミが取り上げるのは納得できない人の声だから、何もしない方が一見、「失点がない」ように見える。
まちづくりで「絶対にこっちの方がいい」という完璧な案があるのであれば、政治も行政も必要ない。現実にはそんなことはありえない。よって、リーダーができるだけ早く「全体がよくなる」ための決断をすることが必要である。
著者 高島 宗一郎
1974年生まれ。福岡市長 大学卒業後はアナウンサーとして朝の情報番組などを担当。2010年に退社後、36歳で福岡市長選挙に出馬し当選。2014年史上最多得票で再選、現在二期目(2018年10月現在)。 2014年3月、国家戦略特区(スタートアップ特区)を獲得、スタートアップビザをはじめとする規制緩和や制度改革を実現するなど、数々の施策とムーブメントで日本のスタートアップシーンを強力にけん引。福岡市を開業率3年連続日本一に導く。 MICEやクルーズ船誘致、コンテンツ産業振興などの積極的な経済政策で、一期目4年間の税収伸び率政令指定都市トップ。現在、政令指定都市で唯一、5年連続で税収過去最高を更新中。一方、借金に依存しない自治体運営や行財政改革に取り組み、二期8年間で約2300億円の市債残高を縮減。熊本地震の際には積極的な支援活動とSNSによる情報発信などが多方面から評価され、博多駅前道路陥没事故では1週間での復旧が国内外から注目された。2017年日本の市長では初めて世界経済フォーラム(スイス・ダボス会議)へ招待される。
帯 筑波大学 学長補佐 落合 陽一 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 36歳で市長になったら、まわりは敵だらけだった | p.3 | 6分 | |
1章 挑戦―出馬と裏切り、選挙のリアル | p.23 | 10分 | |
2章 逆襲―数字と結果で流れを変える、弱者の逆転戦略 | p.43 | 16分 | |
3章 決断―スピードと伝え方が鍵。有事で学んだリーダーシップ | p.77 | 16分 | |
4章 情報―テクノロジー、SNSの活かし方 | p.111 | 21分 | |
5章 戦略―攻めの戦略と市民一人ひとりの意識改革 | p.155 | 37分 | |
6章 覚悟―キャリアと死生観、自分の命の使い方 | p.233 | 12分 | |
おわりに 成功の反対は挑戦しないこと | p.259 | 2分 |