共有認識のプールを満たす
重要な結果、反対意見、強い感情を伴う話し合いになる場合、コミュニケーションに長けた人は、自分や他人が持つあらゆる関連情報を表に出す方法を考える。話し合いが成功する時、その中心には常に、関連情報の自由な流れがある。話し合いに参加する人々が、率直かつ正直に自分の意見を表明し、気持ちを伝え、考えを述べることができる。異論がありそうな見解や不人気なアイデアであっても、遠慮なく言える。
会話に長けている人は、参加者が共有するプールに、誰もが安心して自分の考えや気持ちを注ぎ込めるよう最善を尽くす。もちろん、あらゆるアイデアに同意する訳ではない。ただ、あらゆるアイデアが表に出るようできる限りの努力をする。
この「共有認識のプール」が大きくなると、2つの利点がある。第一に、一人ひとりがより詳細な関連情報に触れられるため、より優れた選択ができる。共有にプールが大きいほど、賢明な決断が下せる。
共有のプールは、一人ひとりが優れた選択をするのに役立つだけではない。認識が共有されるため、最終的にどんな判断を下すにせよ、参加者は確信と一体感をもって、進んでその判断に従うようになる。アイデアが共有される話し合いでは、参加者は認識の自由な流れに加わる。そのため、共有されたあるアイデアが最善の解決策に選ばれた理由がわかり、その解決策の実現に取り組むようになる。
重要な結果、反対意見、強い感情を伴う問題を話し合う時、私たちはたいてい最悪の行動を取ってしまう。それを成功に導くためには、自分の認識のプールに何があるかを説明し、相手にもそれぞれのプールに何があるかを伝えてもらうようにすればいい。
クルーシャル・カンバセーションの指針
反対意見や強い感情に直面した時に、認識の自由な流れを促すにはどうすればいいのか。
①本音を探る
・最初に冷徹な目で自分の望みを見極める。
・二者択一の選択をしない。
②観察する
・内容と状況お双方を観察する。
・会話がクルーシャル・カンバセーションになった時に気をつける。
③安心させる
・相手が沈黙や暴力に向かう時には、話し合いから一歩身を引く。
・謝罪すべき時は謝罪する。
・共通の目的を創り出す。
④プロセスを告げる
・事実を共有する
・ストーリーを語る
・相手のプロセスを尋ねる
・仮説として話す
・反応を引き出す
⑤相手のプロセスを探求する
まずは相手に好奇心を抱き、我慢強い態度で接するところから始める。次いで、相手の「行動へのプロセス」を、その発端までさかのぼる。