9億人以上のユーザーを持つ中国の決済アプリ「アリペイ」を展開する、アント・フィナンシャルの創業物語。
■湖畔花園のプロジェクト
タオバオは2003年5月にアリババが投資して設立されたC2Cのウェブサイト。現在では中国で知らぬ者のないこの企業の創業期のオフィスは杭州市湖畔花園の住宅地区にあった。湖畔花園は、杭州の西部にある「アリババ発祥の地」である。アリババグループの創始者であるジャック・マーは、1990年代末に、湖畔花園小区の16棟1区画202号室を購入した。この150㎡の住宅が、1999年にアリババ創業の事務所となった。アリババが成功した後、2003年にジャック・マーは、社員を集めて湖畔花園の2階建て一棟の住宅で秘密裏に新しい事業を始めさせた。
当時、B2B事業を中心としていたアリババは、中国のインターネット業界でまだトップではなかった。イーベイが中国に参入するという情報はジャック・マーの神経を刺激し、彼はC2Cサイトの制作について考え始めた。これがタオバオだ。当時、ジャック・マーは、イーベイが中国でビジネスを展開するなら、小売業から始め、それからアリババと競合するB2B事業に参入するだろうと考えた。競争が避けられない状況のもと、アリババがイーベイを小売業界に釘付けにしておこうと思うならば、できることは自らもC2Cサイトを開き、直接戦うことだった。
担保取引という小さな変革が中国のオンラインビジネスの新時代を開き、アリペイ創業の始まりとなった。
著者 由曦
エコノミスト ホーガン・ロヴェルズ法律事務所北京代表所の他、『毎日経済新聞』、『第一財経日報』、『財経』など中国における著名経済誌にて勤務。 中国フィンテック領域で強い影響力をもつエコノミストとして中国内外の業界トップを取材し、高い評価をうける。 2013年からはフィンテック業界を中心に取材活動を行い、中国における同業界を代表するエコノミストとなっている。
帯 元伊藤忠商事会長 丹羽 宇一郎 |
週刊エコノミスト 2019年 4/2号 シグマ・キャピタル チーフエコノミスト 田代 秀敏 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 あなたが払うなら、私が保証する | p.13 | 16分 | |
第2章 アリペイの独立 | p.39 | 14分 | |
第3章 脱タオバオ | p.61 | 14分 | |
第4章 初心に帰る | p.83 | 16分 | |
第5章 「スピード決済」への挑戦 | p.109 | 15分 | |
第6章 テクノロジーの壁 | p.133 | 29分 | |
第7章 決済からインターネット金融へ | p.179 | 30分 | |
第8章 オール・イン・ワイヤレス | p.227 | 17分 | |
第9章 魂のある組織 | p.255 | 16分 | |
第10章 オフライン決済の決戦 | p.281 | 11分 | |
第11章 グローバル展開 | p.299 | 17分 | |
第12章 デジタル中国の建設 | p.327 | 14分 | |
おわりに | p.350 | 2分 |
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