分身ロボット『OriHime』などのロボット開発者として注目される著者が、テクノロジーの発展によって、人間の身体的能力差がなくなっていく時代に、どのように生きるべきかを論じている一冊。
■人とテクノロジーが融合する時代
人は高齢化や病気、ケガなどで、今まで「できた」ことができなくなっていく時、絶望にも近い悲しみや将来への不安を覚える。しかし「できない」と思っていたことが「できる」に変わった瞬間、未来に対して希望を持つことができる。
サイボーグ時代。テクノロジーを日常生活にうまく取り入れることで、今までできなかったこと、これまでの「当たり前」を更新し続ける時代。今年できなかったことが、来年できるようになる時代を我々は歩いている。
大切なことは、「自分がやりたいことは何か?」を考え、それに役立つ適切なツールを見つけて生活の一部に取り入れ、場合によっては自分で工夫して生み出し、自分にとって「当たり前」とすることだ。サイボーグ化とは、「これがやりたい」という人の意思に基づき、テクノロジーがその人の能力となり、生活、人生となめらかに融合することである。
■やりたいけどできないことを探す
サイボーグ的に生きる。これは、自分の能力、意識を時代に合わせ、常にアップデートさせる生き方だ。「サイボーグ」という言葉を使うと、生身の体に機械を取り付けるようなものをイメージするかもしれないが、ここでは「他者の知識や経験を取り入れて、自分の能力の一部化し、できることを増やす」ことを指す。
自分ができないことについては、他人の力やツールを取り入れればいいのだが、それらを効果的に使うには、自分の「やりたいけどできない」ことが何なのか、なぜなのかを把握し、適切なツールを選ぶことが必要である。
著者 吉藤 オリィ
1987年生まれ。オリィ研究所 代表取締役所長 小学校5年から中学校2年まで不登校を経験。工業高校にて電動車椅子の新機構の開発を行い、国内の科学技術フェアJSECにて文部科学大臣賞、ならびに世界最大の科学大会ISEFにてGrand Award 3rdを受賞。その際に寄せられた多くの相談と自身の療養体験がきっかけとなり、「人間の孤独を解消する」ことを人生のミッションとする。 その後、高専で人工知能の研究を行い、早稲田大学創造理工学部へ進学。在学中に分身ロボットOriHimeを開発し、オリィ研究所を設立。 米Forbesが選ぶアジアを代表する青年30名「30 under 30 2016」などに選ばれ、現在はデジタルハリウッド大学院で特任教授も務めている。
帯 筑波大学 学長補佐 落合 陽一 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ テクノロジーとはなにか? | p.1 | 6分 | |
第1章 サイボーグ的な生き方 | p.23 | 13分 | |
第2章 万能主義からの脱却 | p.51 | 5分 | |
第3章 ほしいものを自分でつくる開発思考 | p.63 | 12分 | |
第4章 居場所を見つける | p.89 | 5分 | |
第5章 対人コミュニケーションを克服する | p.99 | 6分 | |
第6章 「できない」を武器に変える | p.113 | 9分 | |
第7章 自分をシェアする | p.133 | 8分 | |
第8章 これからの時代を生き抜く6つのストラテジー | p.151 | 12分 | |
第9章 死を思い、生きる | p.177 | 5分 | |
エピローグ 泣き友に捧ぐ、だれもが“生きる"サイボーグ時代 | p.189 | 4分 |