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2019/02/25更新

予測マシンの世紀―ーAIが駆動する新たな経済

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人間と機械の分業

人間には予測が苦手な状況があって、それは専門知識を持つプロも例外ではない。人間は往々にして目立つ情報を重視しすぎ、統計的特性を重視しない。

予測に関しては、機械にも人間にもどちらにも長所と短所がある。予測マシンの性能が改善するに伴い、企業は人間と機械による分業体制を調整していかなければならない。様々なに異なる指標の中から複雑な相互作用を見つけ出す作業に関しては、人間よりも機械の方が優れており、データが豊富な時は特に素晴らしい結果を残す。このような相互作用が関わる側面が増えるにつれ、人間が正確に予測する能力は低下していき、機械との差は大きくなっていく。しかし、データが生成されるプロセスについて理解することが予測にとって有利になる状況では、人間の方が機械よりも優れている。データが少ない状況では、特にその傾向が強い。

予測マシンはスケールする。予測の頻度が増えれば、予測当たりの単位コストは下がっていく。人間の予測は同じようにスケールすることができない。しかし人間は、世の中の仕組みを解明するために役立つ認知モデルを作り出し、少量のデータに基づいて予測を立てることができる。したがって、これからは人間が例外予測を行う事例が増えると予想される。

予測の向上で判断の価値が高まる

予測マシンに価値があるのは以下の理由である。

①人間よりも優れた予測を短い時間で安上がりに行う。
②不確実な状況での意思決定において予測は重要な役割を果たす。
③私たちの経済や社会生活のいたるところで意思決定は必要とされる。

予測は決断ではない。決断を構成する1つの要素にすぎない。他には判断、行動、結果、3つのタイプのデータ(入力、訓練、フィードバック)が決断を支えている。

予測マシンによる予測の精度とスピードが向上し、コストが下がったとしても、人間による判断の価値は増加する。なぜなら、人間の判断が必要とされる場面は増えるからだ。意識的に決断していなかった領域で決断するために、以前よりも積極的に判断を下すようになるだろう。

予測マシンは、判断にもたらされる利益を増やす。予測のコストが下がるにつれて、具体的な行動から得られる報酬を理解することの重要性は高まるからだ。その反面、判断は高いコストを伴う。

機械の限界

機械は人間の判断を学習することができる。しかし、機械が人間の判断を予測する能力には限界があって、そこにはデータ不足が関わっている。個人的好みなど、一部のデータは人間にとって収集可能でも、機械には集められない。データが充実していない状況では、機械は人間の判断を学習して予測に役立てることができない。したがって、他人の判断を理解できる人間の役割は失われないだろう。