イノベーション研究の最重要理論とされる「両利きの経営」の解説書。成功の罠にはまったリーダーはいかに行動すべきかという指針が示されています。
■イノベーションのジレンマの解決策
破壊的イノベーションに対応するには、成熟事業で成功する組織を設計すると同時に、新興事業でも競争しなくてはならない。
成熟事業の成功要因は漸進型の改善、顧客への細心の注意、厳密な実行だが、新興事業の成功要因はスピード、柔軟性、ミスへの耐性だ。その両方ができる組織能力を「両利きの経営」と呼ぶ。「イノベーションのジレンマ」を克服する真の鍵は、両利きの経営にある。クリステンセンは「組織は破壊的変化に直面すると、探索と深化は同時にできないので、探索にあたるサブユニットをスピンアウトしなくてはならない」と主張している。しかし、過去と未来とが断絶されていると、新規部門の足を引っ張って成功を阻み、往往にして身動きのとれない状態に追いやってしまう。既存組織に活用すべき資産があるならば、探索を担当する組織にもそれが利用できるようにしなければならない。
必要なのは、ターゲットを絞り込んだ統合、新規事業に対する経営上層部の強力なバックアップ、組織全体のアイデンティティをはじめとする、より高度な分離である。
変化に直面した組織が生き残るには、相矛盾する2つのことを行う「両利きの経営」が必要である。
①探索
自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
②深化
自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為
この2つを行えている企業ほど、イノベーションが起き、パフォーマンスが高くなる傾向が実証研究で示されている。
スタンフォード大学経営大学院教授 カリフォルニア大学バークレー校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。 専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。 スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。
著者 マイケル・L. タッシュマンハーバード・ビジネススクール教授 コロンビア大学教授、MIT客員教授、フランスINSEAD教授などを経て現職。 専門は技術経営、リーダーシップ、組織変革など。 アカデミー・オブ・マネジメント特別功労賞や全米人材開発機構(ASTD)生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、コンサルティング活動やマネジメント研修に従事。 ハーバード・ビジネススクールのAMP(アドバンスト・マネジメント・プログラム)、マネジメント育成・変革リーダーシップ・組織刷新プログラムのファカルティ・ディレクターも務める。
WEDGE |
帯 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
週刊エコノミスト 2019年 4/23号 成城大学教授 後藤 康雄 |
日経トップリーダー |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.27 | 5分 | |
第1章 イノベーションという難題 | p.37 | 21分 | |
第2章 探索と深化 | p.67 | 30分 | |
第3章 イノベーションストリームとのバランスを実現させる | p.109 | 46分 | |
第4章 六つのイノベーションストーリー | p.175 | 43分 | |
第5章 「正しい」対「ほぼ正しい」 | p.235 | 31分 | |
第6章 両利きの要件とは? | p.279 | 21分 | |
第7章 要としてのリーダー(および幹部チーム) | p.309 | 26分 | |
第8章 変革と戦略的刷新をリードする | p.345 | 28分 |
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