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2019/04/15更新

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

179分

11P

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余剰は様々なものを生み出した

・文字:余剰を記録するために生まれた
・債務、通貨:余剰の債務、交換手段として生まれた
・国家:余剰を交換するための通貨を保証するために生まれた
・軍隊・官僚:余剰によって生まれた支配者が支配し続けるために生まれた
・宗教:余剰によって生まれた支配者を正当化する思想のために生まれた
・テクノロジー:余剰を効率的に増やすために生まれた

なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか

農作物の余剰によって、文字が生まれ、債務と通貨と国家が生まれた。それらによる経済からテクノロジーと軍隊が生まれた。つまり、ユーラシア大陸の土地と気候が農耕と余剰を生み出し、余剰がその他の様々なものを生み出し、国家の支配者が軍隊を持ち、武器を装備できるようになった。

だが、オーストラリアのような場所では余剰は生まれなかった。オーストラリアでは自然の食べ物に事欠くことがなかったからだ。余剰を貯め込む必要がなかった。逆に、気候に恵まれないイギリスでは、大量に作物の余剰を貯めないと、生きていけなかった。航海技術や生物兵器も、余剰から生み出された。

アフリカでは、一部で農耕経済を発展させた社会があっても、その仕組みは広がらなかった。赤道を隔てて南北に長いアフリカ大陸では、北部で栽培できる作物も南部では育たない。一方、ユーラシア大陸では誰かが農耕技術を発明した途端、それが西と東にあっという間に広がった。だから、アフリカとオーストラリアと南北アメリカがヨーロッパの植民地になったのは、もとを辿ると地理的な環境が理由だった。

余剰によって格差は生み出された

しかし、地理では説明できない格差もある。地域内や国内の格差だ。余剰を蓄積するには、権力の集中が必要で、権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏っていった。蓄積した余剰を独り占めできる支配階級が、さらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持つようになる。その力を使って、さらに大きな余剰を独り占めするようになる。

こうして、グローバルな格差と社会の中での格差が拡大していった。どちらの格差も、元々は経済的な余剰に行き着く。その余剰は、農耕という人類最初のテクノロジー革命から生まれたものだった。