脳科学、認知科学の視点から、どのように子供の教育を行えば効果が高まるのかを解説している一冊。教師や親など子供の教育に携わる人の教育レベルが高まります。
■教師は子供を知り、興味を持ち続けさせる必要がある
子供は自分の頭を部分的にしかコントロールできない。私たちは注意を払う対象を自分で決めていると考えたいものだが、注意の向け方については、頭には独自の願望や欲求といったものがある。
教師は子供がついてくるようにするため、子供に興味を持ち続けさせる必要がある。興味を持たせるには反応を予測する必要があり、反応を予測するには子供を知る必要がある。
■9つの知能の原理
①人間は生れながら好奇心が強い生き物だが、元々考えることが得意な訳ではない。認知的な条件が整わなければ、考えることを避けようとする。
②技能より先に事実的な知識が必要である。
③記憶は思考の残渣である。
④私たちは既に知っている事柄に結びつけて事柄を理解するが、私たちが知っていることの大部分は具体的なことである。
⑤十分な練習なくして知的活動をマスターすることはできない。
⑥初心者と熟達者の認知能力は根本的に異なる。
⑦子供の思考方法と学習スタイルには、相違点よりも類似点の方が多い。
⑧子供の知能には違いがあるが、たゆまず努力を重ねることで知能に変化を及ぼすことができる。
⑨教えることも、他の複雑な認知的技能と同様、上達するには練習が必要である。
著者 ダニエル・ウィリンガム
ヴァージニア大学 心理学教授 1992年からはヴァージニア大学で教鞭を執り、現在は心理学の教授を務める。2000年頃まではもっぱら、学習と記憶の脳内基盤の研究に集中していた。 現在の研究の関心は、K‐12(幼稚園から高校3年まで)の教育への認知心理学の応用に向いている。 American Educator誌に「Ask the Cognitive Scientist」というコラムを書いている。
帯 マサチューセッツ工科大学教授 ジョン・ガブリエリ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 なぜ子どもは学校が好きでないのか? | p.13 | 24分 | |
第2章 テストでは事実だけを求められるのに、どうすれば子どもに技能を身につけさせられるのか? | p.51 | 31分 | |
第3章 なぜ子どもはテレビで見たことは全部覚えているのに、私の言うことは全部忘れるのか? | p.99 | 37分 | |
第4章 子どもが抽象概念を理解するのはなぜそれほど難しいのか? | p.157 | 22分 | |
第5章 演習にはそれだけの価値があるか? | p.191 | 23分 | |
第6章 本物の科学者や数学者、歴史学者と同じように子どもに考えさせることはできるか? | p.227 | 20分 | |
第7章 子どもの学習スタイルによって教えかたをどう変えるか? | p.259 | 24分 | |
第8章 スローラーナーを支援するにはどうすればよいか? | p.297 | 22分 | |
第9章 教師の知能についても考える | p.331 | 20分 | |
まとめ | p.363 | 7分 |