知能の原理と教育への応用
9つの原理に従えば、子供の能力が開花する可能性が大いに高まる。
①人間は生れながら好奇心が強い生き物だが、元々考えることが得意な訳ではない。認知的な条件が整わなければ、考えることを避けようとする。
好奇心は新しい概念や問題に取り組むための推進力となるが、この時、脳は問題を解くのにどれくらいの知的活動が必要かを素早く計算する。それが多すぎても少なすぎても、やめることが可能であれば、問題に取り組むのをやめてしまう。
●学習すべき事柄を「答え」と考え、子供に「問い」を説明するのに必要な時間を設ける。
②技能より先に事実的な知識が必要である。
意味もわからず事実を暗記させることでは、子供の能力を強化できない。技能と関連づけて、就学前に事実を教える必要がある。
●テーマに関する事実的な知識がないと、テーマについてよく考えることはできない。
③記憶は思考の残渣である。
何かを懸命に考えるということは、それについて再び考えなければならなくなるため、保持しておく必要がある。効果的に教えるには、課題を通して実際に子供が何を考えるかということに特に注意を払う必要がある。
●すべての授業計画の最良のバロメーターは「子供に何を考えさせるか」である。
④私たちは既に知っている事柄に結びつけて事柄を理解するが、私たちが知っていることの大部分は具体的なことである。
抽象概念を理解することは難しく、新しい状況に応用するのも難しい。抽象概念を理解できる最も確実な方法は、子供を抽象概念の様々なバリエーションに触れさせることである。
●深い知識・明示的・黙示的な目標にするが、浅い知識が前提となることを認める。
⑤十分な練習なくして知的活動をマスターすることはできない。
練習は知的活動に使用する場所を減らし、高度な事柄に対応する余裕を残してくれる。
●子供がどの事柄をすぐ使える状態にしておく必要があるかを慎重に考え、時間をかけて練習する。
⑥初心者と熟達者の認知能力は根本的に異なる。
●子供に新しい知識を創造させようとするのではなく、深く理解させるよう努める。
⑦子供の思考方法と学習スタイルには、相違点よりも類似点の方が多い。
●教え方に関する決定を進めながら、子供の違いではなく、授業の内容について考える。
⑧子供の知能には違いがあるが、たゆまず努力を重ねることで知能に変化を及ぼすことができる。
●常に能力ではなく、努力の観点から成功と失敗について話す。
⑨教えることも、他の複雑な認知的技能と同様、上達するには練習が必要である。
●能力を高めるには経験だけでは不十分である。意識的な努力とフィードバックも必要となる。