頼まれる側もプレッシャーを受けている
誰かに何かを頼む時に感じる苦しみの大きさは、その要求がどれくらいの割合で拒絶されるだろうかという予測によっても変化する。
人は、誰かに直接的に頼み事をする時に、相手がそれを受け入れてくれる確率を実際よりも大幅に低く見積もる。私たちは頼み事がうまくいくか予測する時、それが頼まれた側にとってどれほど不便か、煩わしいかに意識を向ける。そして、相手がそれを面倒だと感じるだろうと思うほど、成功の見込みは薄くなるだろうと考える。しかし、この予測は、頼まれた側が「ノー」と断る時に生じる負荷を見逃している。
私たちは良い人でありたいと思いながら生きている。頼み事をされた人には「イエス」と言わなければならないという、心理的、対人的なプレッシャーが大きくかかっている。これは頼んだ側にとっては感知しにくい。
面と向かって助けを求めると、相手がそれに応えてくれる確率は最も高くなる。なぜなら、助けを求めてきた人が目の前にいると、それを断るのは気まずく、社会のルールに違反するという感覚が大幅に強まるからである。
何かを頼まれた時、「ノー」と答えるのは大きな苦痛を伴う。そのため、1度目に断った相手から二度目の依頼をされた時には、「イエス」と答える確率が上がる。
助ける側にもメリットをもたらす
研究によれば、人は助けた相手にそれまでよりも強い好意を抱くようになることがわかっている。助けることは、助けた側に様々なメリットをもたらす。気分が高揚し、温かい気持ちになり、世の中を良い場所だと思えるようになる。そのため、誰かの助けを求めようとする時に、必要以上の気まずさを覚えるべきではない。
必要な助けを得るための4つのステップ
①助けて欲しいと相手に気づかせる
人は基本的に自分のことで頭がいっぱいで周りにはあまり注意を払っていない。周りに膨大な情報があるため、自分の目的に関わるものだけに焦点を絞らなければならないからである。
②助けることを歓迎すると相手にわからせる
相手が困っていないのに、助けが必要だと誤解してしまうことのリスクと、求められていないのに助けようとして嫌がられることへの不安は、どちらも誰かを助けようとする側にとって、大きな障壁になる。
③自分がこの人を助けるという責任感を抱かせる
周りに困っている誰かを助けられる人が多くなるほど、それぞれが抱く「自分が助けるべきだ」という責任感は薄れる。
④相手も忙しくしていることを忘れないようにする
助ける人が、必要な助けを提供できる状態でなければならない。誰もが自分のすべきことを抱えている。できる範囲で助けてもらえることを受け入れること。