Apple教育部門の初代バイスプレジデントが、テクノロジーを活用した教育の未来を語った一冊。デジタル時代の教育改革について紹介されています。
■教育をリワイヤリングする
デジタルネイティブがテクノロジーを介して膨大な量の情報に触れていることは間違いなく、それによって脳内で起こる変化が激しくなり、そのスピードが大幅に加速したことは否めない。今の子供達には、教科書ではなくモバイルアプリから、より多くのことを発見し学習する力が備わっている。
しかし、20世紀の間、教育システムに革命的な変化は一切起きていない。現行の教育システムは短絡的であり、リワイヤリングが必要である。教育はコンピュータと同じで、その時々の世代のニーズを満たす用意のあるシステムが必要だ。
教育のOSを、生徒、教師、親、社会がうまくつながるように、学校が創造性や独創的な思考を育める場所になるように更新するのだ。学習に関するリサーチと最新テクノロジーを活用して、今の生徒一人ひとりのニーズに即して学習体験をパーソナライズ化する必要がある。
学習は、子供自身が参加して双方向のやり取りを通じて学ぶのがベストであり、子供が実際に何かを「する」ことが大切である。
教育はいまや、修正や交換をやめてリワイヤリングを始める時期にきている。古い設計から意図的に脱却しなければ、デジタルネイティブのニーズを現実に満たせるようにならない。まずはテクノロジーをどうこうするよりも先に、どんな子供にも成功する可能性があると信じること。その子がちゃんとしたモチベーションさえ抱いていれば、可能性は必ずある。
それから、受け身の教育は忘れてアクティブラーニングに注目し、理想の学習空間と、CBLのように生徒が夢中になって取り組める様々な形のチャレンジを用意する。また、自分の手で何かを築く機会やコーディングを学ぶ機会に、すべての生徒がアクセスできるようにすることも不可欠だ。
一方で教師の指導法を見直し、生徒に情報を伝えるだけでなく生徒の学習を助けるファシリテーターとなれるよう、教師にもスキルアップする機会を提供しないといけない。
そして、テクノロジーに対して大いなる望みを抱き、それを活用して教育を改革する。すべての生徒の可能性を解き放ち、彼らにふさわしい教育の未来を切り開くのだ。
著者 ジェイソン・タウン
ハーバード大学 特別研究員 モチベーション、学習、テクノロジーに関する調査を行う。全米最優秀教師に選出またはノミネートされた18名にその教え方を尋ねたインタビュー記録『Conversations with America's Best Teacher(アメリカで最高の教師たちの話を聞く)』は、非常に高い評価を得た。 南カリフォルニア大学で公共政策を専攻し、極めて優秀な成績を収める。2009年に卒業してからは、YMCAの役員として青少年の育成に従事。その後ハーバード大学教育学部大学院に進学し、2015年に修士号を取得。 モチベーションの心理と教育テクノロジーを専攻するなかで、栄誉あるHIVE(教育におけるイノベーションとベンチャーを推進するプログラム)の代表のひとりを務め、最優秀リーダーシップ賞を受賞した。
著者 ジョン・カウチアップルの教育部門初代バイス・プレジデント ヒューレット・パッカードで、エンジニアやマネジャーを務めていたところ、1978年、スティーブ・ジョブズに誘われて54番めの社員としてアップルに入社。 1984年にアップルを退社し、深刻な状態に陥っていたサンディエゴの学校改革に乗りだす。革新的なテクノロジーを活用し、10年かけて改革を断行した結果、同校はナショナル・ブルー・リボン・スクールの認定(アメリカで目覚ましい発展を遂げた学校や優秀な成績の生徒を排出する学校に贈られる)を受けるまでに変わった。 2002年、アップルがデジタル世代に向けた教育改革を目標に掲げて教育部門を新設したことに伴い、再びジョブズに請われてアップルに戻り、同部門の初代バイス・プレジデントに就任。 学習のパーソナライズ化を熱心に推進し、バラク・オバマ前大統領が始めた「NETP(公教育テクノロジー導入計画)」や「コネクトED(教育現場におけるテクノロジー事情の改善を目的としたプロジェクト)」にアップルの代表として参加。 2017年には、学生の学ぶ力やモチベーションの改善につながる最先端の研究を支援する目的で、ハーバード大学に属する研究機関へ出資。この機関は、新入生の学習する力を調査の対象としている。
帯 コンサルタント サイモン・シネック |
帯2 分子生物学者 ジョン・メディナ |
帯3 ナイロビ・インターナショナル・スクール創設者 ラーディカ・リー |
帯4 ハーバード大学個性学研究所所長 トッド・ローズ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
INTRODUCTION 覚醒 | p.12 | 8分 | |
CHAPTER1 リワイヤリング | p.26 | 7分 | |
CHAPTER2 教育の目的 | p.38 | 7分 | |
CHAPTER3 人間の可能性 | p.50 | 11分 | |
CHAPTER4 モチベーション | p.69 | 14分 | |
CHAPTER5 学習の定義 | p.94 | 14分 | |
CHAPTER6 学習空間 | p.119 | 10分 | |
CHAPTER7 チャレンジ | p.137 | 11分 | |
CHAPTER8 チャレンジ設定型学習 | p.156 | 10分 | |
CHAPTER9 アクセスの確保 | p.173 | 13分 | |
CHAPTER10 創造型構築 | p.196 | 10分 | |
CHAPTER11 コーディング | p.213 | 11分 | |
CHAPTER12 教えるということ | p.232 | 16分 | |
CHAPTER13 テクノロジーの活用法 | p.260 | 12分 | |
CHAPTER14 教育革命 | p.281 | 12分 | |
CHAPTER15 教育の未来 | p.302 | 9分 | |
最後に 変える存在になろう | p.318 | 4分 |
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