ソーシャルメディアが、生命体と似ている構造を持つことを論じながら、その仕組みを紹介しているメディア論。ソーシャルメディアの特徴を理解することの重要性を説いています。
■ソーシャルメディアは生命体と似ている
ソーシャルメディアは、有機体とよく似ている。私たちのコミュニケーション・ネットワークは、いわば「息づいている」生命体に進化し、そしてその生命体から私たちは今、食い扶持を得ている。もしそれが生命体のようなものであるなら、生命に当てはまるのと同じ法則が適用できるのではないか。
ソーシャルメディアユーザーは、個々に自律した有機体であり、感情を共有する機械を手に、互いに結びつき、時空を超えた繋がりを形成している。流動的に相互作用するそれらの人々の総体が、ソーシャル・オーガニズムという単体だ。遍在的な生命体、ソーシャル・オーガニズムは、常に自分で自分を育て、成長し、進化する。ソーシャル・オーガニズムの細胞にあたる私たち一人ひとりの人間は、情報の塊をミームとして共有したり増殖したりすることで、ソーシャル・オーガニズムの進化を手助けしている。それはちょうど、生きているものの内部で、遺伝的情報が移動するのと似ている。
ソーシャルメディアは、人々が情報をいかに共有し、情報をいかに使うかを恒久的に変化させた。アイデアや価値体系は、ハッシュタグや写真を通じて、あるいは漫画や動画の共有によって変容する。一連のコミュニケーションを加速させるのは感情的なトリガーだ。それにより、情報の切れ端にしか見えなかったものが突然巨大な力を持つこともある。
ソーシャルメディアに対する人々の意見は往々にして非常に強烈で、しかも両極端だ。多くの人々はこうしたネットワークを、自由のための強力な道具として受け止めている。私たちがまずしなければならないのは、本来アイデアを広めるためのものだったこの無秩序でかつ強力な新しいシステムが、いまやすべてのシステムになったという事実を、そしてそれが過去のシステムとは全面的に異なるという事実を、きちんと認識することだ。
著者 マイケル・ケーシー
MITメディアラボ シニアアドバイザー 2015年より、MITメディアラボの新デジタル通貨イニシアティブのシニア・アドバイザーを務める。ジャーナリストとして20年のキャリアを持つベテランであり、これまでに3冊の本を執筆している。関心分野は経済、文化、情報技術。
著者 オリバー・ラケット1974年生まれ。ReviloPark CEO ウォルト・ディズニーのイノベーション部門のトップを務め、動画共有プラットフォームのRevverの共同創設者でもある。Revverは、動画に広告をつけてその収入の一部をビデオ制作者に還元するモデルをつくった最初の会社。数百人のセレブや、スター・ウォーズ、ザ・チェインスモーカーズ、スティーヴ・アオキなどのブランドのデジタル・ペルソナの管理を支援している。
帯4 ウォルト・ディズニー・カンパニー 会長兼CEO ボブ・アイガー |
帯 発明家 レイ・カーツワイル |
帯2 MITメディアラボ所長 伊藤 穰一 |
帯3 ハフィントン・ポスト創設者 アリアナ・ハフィントン |
帯5 アンドリーセン・ホロウィッツ共同創業者 マーク・アンドリーセン |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 180度の転換 | p.1 | 8分 | |
プロローグ 生物と無生物の「動的平衡」 | p.23 | 18分 | |
第1章 生命のアルゴリズム | p.48 | 14分 | |
第2章 プラットフォームの生存競争 | p.67 | 39分 | |
第3章 つねにつながらなければならない | p.121 | 30分 | |
第4章 ミームの暗号を破る | p.163 | 43分 | |
第5章 「荒らし」にエサを与えてはいけない | p.223 | 31分 | |
第6章 アルゴリズムの犯した「罪と罰」 | p.267 | 26分 | |
第7章 「共感」で文化の免疫系統を強化する | p.303 | 23分 | |
第8章 プラットフォーム「検閲」からの脱却 | p.335 | 44分 | |
第9章 巨大生物化するソーシャルメディア | p.397 | 34分 |
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