旧態依然としたレガシーな業界にある中小企業がイノベーションを起こすにはどうすれば良いのかを解説している一冊。
■レガシーマーケット・イノベーション(LMI)
世の中のニーズは身近なところにあり、小さな不満や不安を解消することが、大きなイノベーションに育っていくことがある。そのためのリソースは、実は既に揃っている。手元の商品を作る技術、その技術にたどり着くまでの道のり、商品を買ってくれる顧客、売っている社員、商品が生み出す利益など、あらゆるリソースが目の前にある。これら過去から引き継いできたリソースを貴重な固有資産と捉え、「レガシー」と呼ぶ。
市場の成長性と生産性が伸び悩んでいるレガシーマーケットに新しいアイデアやテクノロジーを導入し、収益性を高める。イノベーションに富んだ商品やビジネスモデルを作り出し、マーケットを刷新する。レガシーの価値を認識し、レガシーを生かした新しい商品を作り、既存の市場を自らの手で刷新していく一連の道のりが、レガシーマーケット・イノベーション(LMI)である。
■レガシー企業の優位性
レガシーマーケットの良いところは、ビジネスプロセスの論理化、構造化、可視化、それを実現させるためのデジタル化が遅れている点だ。遅れているから、取り入れればすぐに効果が出る。特に最近は便利なITシステムをタダ同然の料金で使える。
レガシー企業は既存の事業を通じて、既存の顧客と強いリレーションを築いている。課題を聞かせてくれる相手もテスト導入に協力してくれる会社も目の前にいる。既存顧客との付き合いが長いほど業界特有の課題もわかるし、PoCや開発コストに既存事業の利益を充当することができる。重要なのは、自分たちが持っているレガシーアセットを生かせるかどうかである。
著者 永井 俊輔
1986年生まれ。クレストホールディングス 代表取締役社長 ジャフコでM&Aやバイアウトに携わった後、父親が経営するクレストに入社。 CRM(顧客関係管理)やマーケティングオートメーションを活用して4年間で売り上げを2倍に拡大し、クレストをサイン&ディスプレイ業界の大手企業に成長させる。 2016年に代表取締役社長に就任。ショーウィンドウやディスプレイをウェブサイト同様に正しく効果検証するリアル店舗解析ツール「エサシー」を開発するなど、リアル店舗とデータサイエンスの融合を目指す。成熟産業にITやテクノロジーを組み合わせ、新たな価値を生み出す。LMI(レガシーマーケット・イノベーション)に尽力。 2019年のホールディングス化に伴い、クレストホールディングスの代表取締役社長に就任。複数の事業会社を束ねるレガシーマーケット・イノベーションの企業群を構想している。
帯 経営コンサルタント 波頭 亮 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 夢の続きを描こう | p.3 | 2分 | |
序 章 レガシー企業だからできるイノベーションがある | p.15 | 12分 | |
第1章 なぜ、レガシー企業にイノベーションが必要なのか | p.34 | 22分 | |
第2章 自社と市場の「現在地」を把握する | p.69 | 35分 | |
第3章 「Lの世界」の成長戦略 | p.125 | 26分 | |
第4章 「Iの世界」の成長戦略 | p.167 | 30分 | |
第5章 イノベーションの実現に欠かせないこと | p.215 | 23分 | |
おわりに | p.252 | 2分 |