スマートフォンやSNSには中毒のような側面がある。テクノロジーによって奪われる自分の時間をいかに取り戻し、本当に大切なことに集中すべきかを指摘する一冊。
■スマホ依存の罠
スマートフォンやタブレットの奥から手招きしているアプリやウェブサイトには抵抗できず、本来の役割をはるかに超えて生活のあちこちに入り込まれてしまう。この原因は、それら新しいツールの大多数は、使わずにいられないようにするために何十億、何百億ドルもの資金が投じられているからだ。
人の脳は「間歇強化(予期せぬパターンで報酬を与えられた方が喜びが大きくなる)」と「承認欲求(人は他人からどう思われているかを全く意識せずにいることはできない)」の2つからの影響を極めて受けやすい。暇さえあればスマートフォンをチェックさせたりするアプリやウェブサイトの多くは、この2つの罠を利用してユーザーが誘惑に抵抗できないようにしているからだ。
私たちが新しいテクノロジーに抱いている不安は、テクノロジーが有益であるかどうかは関係ない。主体性が脅かされていることが問題である。
デジタル・ツールには有益な面と有害な面が混在しているために、現代文化とツールとの関係が複雑になっている。無制限にネットに接続していると心の健康をむしばまれる。人々は自分がデバイスに使われているような現状に疲れを感じ始めてもいる。この問題への対抗策としてよく挙げられるのは、無理のない範囲で元凶を遠ざけましょうという「ハック」や「ティップス」だ。デジタル安息日を設ける、夜はスマートフォンをベッドに持ち込まないといった対策を実行する。
しかし、このタイプの意思の力や小さな工夫、漠然とした決めごとだけでは、ユーザーの意識に横暴に侵入してくる新しいテクノロジーを退けるには力不足だ。デジタル・ツールは使わずにはいられなくなるように設計されている。
必要なのは、自分の根本をなす価値観に基づいた、妥協のない「テクノロジー利用に関する哲学」だ。どのツールを利用すべきか、どのように使うべきかという問題に明確な答えを提示できる哲学。そして、選んだツール以外の一切を無視できるだけの自信を与えてくれることも同じくらい重要な条件だ。
著者 カル・ニューポート
1982年生まれ。ジョージタウン大学 コンピュータ・サイエンス 准教授 教鞭をとる傍ら、ブログ「Study Hacks」で学業や仕事をうまくこなして、充実した人生を送るためのアドバイスも行っている。 著書に「How to Win at College」をはじめとする学生向けのハウツー本シリーズがあり、これまでに売上12万部を超える。 Harvard, Princeton, MIT, Dartmouth, Dukeといった名門大学に招待されて講演を行っている。
帯 ファッションデザイナー ハヤカワ 五味 |
帯2 ミニマリスト 佐々木 典士 |
週刊エコノミスト 2019年 10/22号 |
週刊ダイヤモンド 2020年 1/25号 [雑誌] (パナソニック 名門電機の凋落) 作家 佐藤 優 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.7 | 9分 | |
1 スマホ依存の正体 | p.21 | 20分 | |
2 デジタル・ミニマリズム | p.47 | 26分 | |
3 デジタル片づけ | p.81 | 19分 | |
4 一人で過ごす時間を持とう | p.109 | 36分 | |
5 "いいね"をしない | p.155 | 32分 | |
6 趣味を取り戻そう | p.196 | 39分 | |
7 SNSアプリを全部消そう | p.249 | 30分 | |
おわりに | p.288 | 5分 |
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