小説形式で簡単に経済がわかる一冊。日本の財政、アフリカの発展、SDGsを主なテーマとしています。


■国民1人当たり800万円の借金
日本の2018年3月末の貸借対照表を見ると、負債を表示する右側の欄に「負債合計」1239兆円とある。この内、公債など国の借金とされるものは、1100兆円ある。これは国民1人当たり800万円以上の借金を負っていることになる。国の負債のバランスを見る場合、国の経済規模であるGDPとの比率を用いる。日本のGDPは536兆円、負債1239兆円であるためGDPに対する負債比率は230％を超える。これは世界一の数字である。

負債の多くは国債である。国が発行する債券で、金融機関や個人が購入する。国は一定期間利息を払わなければならず、償還期限が来ると購入者に返済する。地方公共団体が発行する地方債などと合わせて公債ともいう。

国の負債対GDP比率ランキング2位のギリシャは、負債対GDP比率は179％だが、GDPが22兆円と小さいため、負債額は40兆円ほどである。

日本のGDPは今のところ世界第3位の地位を保っているが、1人あたりGDPではシンガポールやニュージーランドより下の25位と既に上位国ではなく、カリブ海のバハマと大差ない。物価水準を考慮すると30位まで下がってしまい、地中海のマルタをわずかに上回る程度である。世界に比べれば、自分たちが思っているほど個人の生活は豊かではない。

著者 澤 昭人

1963年生まれ。公認会計士、税理士 澤公認会計士事務所 所長 新日本有限責任監査法人（旧太田昭和監査法人）を経て、現在、澤公認会計士事務所代表。上場企業やIPO準備中の会社の役員を複数務める。 書籍やラジオなど多彩なメディアを通して経済や投資・会計・税金を 高校生でも分かるように伝えることを使命と考えている。その一環としてアイドルとコラボする機会もあり、書籍の発行部数は累計100万部を超える。