ヒトはいつから料理を始め、どのように進化してきたのか。食の進化と共に人類が発展してきたという歴史を紹介しながら、食べ物と人類の進化のドラマを紹介しています。
■食べ物の進化
すべての食べ物に進化の歴史がある。その設計者は自然選択だ。自然界のすべてのものはそれぞれ異なり、その多様性の一部は大抵受け継がれる。自然選択とは遺伝した多様性のふるい分けのことで、1世代ごとに少しずつ、生物の機能を累積的に強化していく。局地的な条件に適した遺伝的多様体が、適応できない多様体が犠牲になることでどんどん繁殖するからだ。この漸進的な進化のプロセスは行き当たりばったりで、意図も計画も目標もない。
このプロセスこそが、食べ物だけでなく、私たち自身も生み出した。私たちと食べ物の関係には、私たち自身と食べ物の進化が示されている。私たち人間は作物の進化の道筋を定めてきたが、それを食べることで、私たちの進化も作物によって方向づけられてきた。
料理は人の栄養摂取になくてはならないもので、大昔から行われ、ヒトの進化において極めて重要な活動だった。それと同じく重要なのが貝の食用で、約7万年前にアフリカ大陸から移住した少人数の集団は、そのおかげで生き延びた。農業は植物の栽培化と動物の家畜化に基づいて始まり、現代人の食事の基礎となっている。
エディンバラ大学 進化生態学 教授 同大学の進化生物学研究所に所属。生態学と進化に関する多くの著書がある。『An Orchard Invisible』で「ニューサイエンティスト」誌の年間ベストブックを獲得。
帯 ハーバード大学 生物人類学教授 リチャード・ランガム |
週刊エコノミスト 2020年 1/21号 総合研究大学院大学名誉教授 池内 了 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 進化美食学 ◎ ダーウィンとディナーをご一緒に | p.6 | 11分 | |
第2章 料理 ◎ヒト族はいつ料理を始めたのか | p.21 | 19分 | |
第3章 貝 ◎ 人類の大いなる旅の食料 | p.47 | 7分 | |
第4章 パン ◎ 穀物の栽培が変えたヒト遺伝子 | p.56 | 20分 | |
第5章 スープ ◎ 味を感じる「鍵穴」と失われた味覚 | p.83 | 15分 | |
第6章 魚 ◎ 風味の決め手となる遺伝子 | p.104 | 11分 | |
第7章 肉 ◎ 野生動物が家畜になるとき | p.119 | 22分 | |
第8章 野菜 ◎ 多様性と進化の戦い | p.149 | 17分 | |
第9章 ハーブとスパイス ◎ 毒になるのに美味しいわけ | p.172 | 12分 | |
第10章 デザート ◎ 甘い罠 | p.188 | 15分 | |
第11章 チーズ ◎ 最も人工的な食べ物 | p.208 | 14分 | |
第12章 ワインとビール ◎ 酒好きな酵母たちの物語 | p.227 | 17分 | |
第13章 祝宴 ◎ 狩りの獲物を分け合うことから | p.250 | 16分 | |
第14章 未来 ◎ 持続可能な食べ物の進化とは | p.272 | 15分 |
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火の賜物―ヒトは料理で進化した [Amazonへ] |
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