企業が新規事業を生み出すにはどうすればいいのか。個人の妄想から、組織として新規事業を立ち上げるために必要なことが紹介されている一冊。
■個人の妄想や主観からはじまる
イノベーション活動は、一人ひとりの個人の創造からしか生まれない。自分がゼロからつくった会社は、自らが新しいアイデアを生み続けなければ死んでしまう。だから、生き残るために必死でやるし、自分の中から生まれてくる創造のエネルギーがその動力となる。
社内で新規事業に取り組むには、組織の中で個をなくし、外の情報をもとに自分で判断するアウトサイド・インの世界から、個人の妄想や主観を外に出して進むためのインサイド・アウトという別のベクトルが必要である。
既存の組織のイノベーション活動は、この違う動力源で動く新たな世界に対応したマインドセット、すなわちOSをアップデートしないまま進めてしまうプロジェクトが多く、それが失敗を生む根本的な原因になっている。
■ゾンビのようなイノベーション活動が生まれる理由
①人の不在:主人公が誰もいないプロジェクト
初対面の人たちが互いの部署の利害を調整しながら進めていくイノベーション活動からは、魂のこもったプロダクトやビジネスは生まれにくい。
②場の不在:新たに生んだものを育てていく場や仕組みがない
ゆるく楽しく、面白い人が自発的に集まって遊ぶことができる場を作れば、放っていても面白いものが生まれる。
③意志の不在:出てきたアイデアがまとまらない
アイデアをまとめるには「なぜ、やりたいのか?」「どんな問題を解決したいのか?」といった強い想いが必要となる。
④つくり方の不在:自分たちの課題に合った創造の方法論が使えていない
質の良いものをつくり出すには、圧倒的な熱量をもった個人の独創によるアイデアのタネを、共創を通じてブラッシュアップしていくことが必要である。
⑤組織とのすり合わせができていない:効率性を大事にする既存組織
新たな取り組みは、既存の仕組みの中で生きている人にとってはムダで遊んでいるように見える。
著者 佐宗 邦威
biotope 代表取締役社長 兼 チーフ・ストラテジック・デザイナー 大学院大学至善館 准教授 P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。 その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。 ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。 BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインが得意領域。 山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
帯2 早稲田大学ビジネススクール教授 入山 章栄 |
PRESIDENT(プレジデント)2020年2/14号(自分を変える) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ | p.4 | 11分 | |
創造と革新の36の智慧 | p.18 | 3分 | |
第1章 創造の生態系を生むレシピ | p.21 | 16分 | |
第2章【人】辺境に眠る妄想家に仲間との出会いを | p.37 | 26分 | |
第3章【場】次のアタリマエを育てる土壌をつくる | p.63 | 26分 | |
第4章【意志】根のある生きた意義を発信せよ | p.89 | 36分 | |
第5章【創造】自分たちらしい創造の型をつくるべし | p.125 | 59分 | |
第6章【革新】機械型組織のツボを突き、新たなモデルを接木せよ | p.185 | 30分 | |
第7章 創造する組織 | p.215 | 19分 | |
エピローグ | p.234 | 6分 |
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