現在、動物の細胞から人工培養でつくる食肉をつくる研究が進んでいる。近い将来、人口増加により、食肉の需給が逼迫する食糧問題に対して、1つの解決策となる培養肉の開発の状況が紹介されています。
■やがてくる食糧問題
人類は危機に瀕している。世界の人口が急増し、地球は既に天然資源の不足にあえいでいる。1960年から現在までに、地球の人口は2倍に増えた。同じ時期に畜産物の消費量は5倍に増えており、国連の予測では今後も増え続けるという。中国やインドなど、比較的貧しい国々人々は、これまで主に植物中心の食生活を送ってきた。それが近年、アメリカ流の食を要求し始めている。国が豊かになるにつれ、これまで富裕層だけのものだった肉、卵、乳製品に、大勢の手が届くようになったからだ。植物ではなく動物を飼育して食料とすることは非常に効率が悪いため、畜産物の需要が急増すれば、地球は到底持ちこたえられない。気候の変動、森林破壊、水資源の枯渇が極度に深刻化し、耐え難いほどの動物虐待が横行するだろうと言われる。
緑の革命による品種改良で穀物の生産高が大幅に増加して以来、より少ない資源でより多くの食料を生み出す人類の能力は劇的に向上している。だが、生産性を高めることで手に入れた猶予時間は、既に底を尽きかけている。この新たな危機から脱出するには、さらなるイノベーションが必要だ。
人類は今、間違いなく岐路に立っている。日常的に肉を食べたいと思う数十億人を含め、今より何十億人も人口が増加すれば、世界中が不安定に陥ることは想像に難くない。
今どうしても必要なのが、緑の革命をもう一度起こすことだ。その革命を成し遂げるための最も有望な解決策の1つが、畜産業全体を相手に壮大な改革を実行するのではなく、細胞農業でできることを少しずつ実現する方法だ。
著者 ポール・シャピロ
Compassion Over Killing 設立者 動物の体外で育った本物の肉を食べた人の数が、まだ宇宙へ行った人よりも少なかったころ、初めてクリーンミートを口にした。クリーンミートを食べた最初の人類に数えられると同時に、TEDxの講演者にして、動物愛護の組織「Compassion Over Killing」の設立者。また、最近「動物愛護の殿堂」入りを果たした。日刊紙から学術雑誌に至るまでさまざまな媒体で、動物に関する記事を多数発表している。
帯2 ヘブライ大学歴史学部 終身雇用教授 ユヴァル・ノア・ハラリ |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 グーグル元CEO エリック・シュミット |
週刊ダイヤモンド 2020年 2/22号 [雑誌] (不動産・開発 危うい狂乱) 紀伊国屋書店和書販売促進部課長代理 竹添 嘉子 |
週刊東洋経済 2020年2/29号[雑誌](外食 頂上決戦) HONZレビュアー 鰐部 祥平 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 培養肉をつくる | p.10 | 24分 | |
第2章 科学の進歩で動物を救う | p.44 | 29分 | |
第3章 グーグル創業者からの支援を武器にする | p.84 | 36分 | |
第4章 培養レザーで先陣を切る | p.134 | 21分 | |
第5章 クリーンミート、アメリカ上陸 | p.164 | 39分 | |
第6章 プロジェクト・ジェイク | p.218 | 36分 | |
第7章 食品(と物議)を醸す | p.268 | 40分 | |
第8章 未来を味わう | p.324 | 20分 |
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