量子コンピュータの仕組みから現状までを、わかりやすく解説した一冊。通常のコンピュータよりも圧倒的に速いとされながらも、あまり理解されておらず誤解も多い量子コンピュータについて基本的なことから紹介されています。
■量子コンピュータとは
現代のコンピュータが情報を処理する仕組みをベースに「量子」という新しい性質をプラスアルファしてパワーアップさせたものが量子コンピュータである。量子とは、物の構成単位となる小さな粒を表す。量子の代表例には、原子や原子そのものを形づくる電子や陽子、光の構成単位である光子がある。量子コンピュータは、この量子の持つ性質をうまく使いこなす。これによって、ある種の問題を解く際には今のコンピュータよりも圧倒的に速く答えを求められることがわかっている。
現在の量子コンピュータは、いわば量子コンピュータのミニチュア版の「おもちゃ」である。決して役に立つ計算ができる代物ではない。本当に世の中の役に立つような量子コンピュータに進歩するには、何年かかるかわからない。
現在、量子コンピュータのミニチュア版の「おもちゃ」は既に作られている。しかし、実用レベルの量子コンピュータを作るには、技術的に未解決な課題が多く残されており、数十年以上の時間がかかる。
量子コンピュータが、現代のコンピュータよりも速く解ける問題の種類はわずかしか見つかっていない。しかし、新素材・薬の開発、最適化問題などの計算が高速化し、その影響力は極めて大きいと予想される。
著者 武田 俊太郎
1987年生まれ。東京大学大学院工学系研究科准教授 専門は量子光学・量子情報科学。日本における数少ない量子コンピュータの開発者。 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、分子科学研究所での職を経て、2019年より現職。 これまで光を用いた様々な量子技術の研究に関わっており、現在は独自方式の光量子コンピュータ開発に取り組んでいる。
帯 東京大学大学院教授 古澤 明 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 量子コンピュータとは? | p.13 | 26分 | |
第2章 量子力学の最も美しい実験から探る量子コンピュータの正体 | p.59 | 24分 | |
第3章 量子コンピュータの計算の仕組み | p.101 | 29分 | |
第4章 量子コンピュータはなぜ計算が速いか? | p.151 | 25分 | |
第5章 量子コンピュータの実現方法 | p.195 | 27分 | |
第6章 光量子コンピュータ開発現場の最前線 | p.243 | 22分 | |
あとがき | p.281 | 2分 |
量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するとされるコンピュータ。 量子コンピューターで計算…