とにかくやってみる
「すでに世の中にある製品でいこう。但し、ネット経由で入手できるようにして、そこに我々が一枚噛めるものだ。ベゾスは本でそれをやった。本を売るために自分で書く必要はないんだ」
アマゾンは実店舗でしかできないと思われていたサービスが今ではネットで可能、しかも実店舗より優れたサービスが可能だと証明し、株式公開したばかりだった。eコマースが次の波だ。みんなわかっていた。だから紙おむつ、靴、箱に入るものならおよそ何でも商材にして、オンラインショップが次々と立ち上がっていた。
VHS郵送レンタルは見込みがない。利益を出すには1本のテープを1ヶ月に20回転させなければならず、しかも競争相手は顧客の家から10〜15分圏内にはほぼ1軒は必ず店舗があるブロックバスターだった。だがDVD郵送レンタルならうまくいくかもしれない。DVDは1997年にサンフランシスコと他の6都市で試験販売されていた。
郵便でCDが無事に届いた時、自分たちのアイデアを見つけたと直観した。送料がたった32セントで、DVDが1枚20ドルで買えるのなら、挑戦する価値はある。DVDプレーヤーなんてまだ誰も持っていないから、レンタルビデオ店がDVDを扱うようになるのはしばらく先になる。唯一の選択肢として自分たちが長い間優位に立てる。
アイデアに値段をつける
会社を始めるにあたって、実際に行うのはアイデアに他の人から理解を得ることである。将来の社員、投資家、ビジネスパートナー、取締役会のメンバーに対して、自分のアイデアが相手のお金や世間的評価や時間を費やす価値があると納得させなければならない。最近はそれを、事前に製品を検証して行う。ウェブサイトかプロトタイプを構築し、製品を作って、トラフィックや初期の売上を測定する。単なる優れたアイデアではなく、すでに存在してうまくいっていると証明する数字を手に入れるためだ。
アイデアがうまくいくと証明するためのお金をもらわなければ、アイデアがうまくいくことを投資家に証明できない。アイデアで相手に売り込まなければならない。
会社を離陸させるには200万ドルかかるだろうと計算した。ウェブサイトをサービス開始に待っていくまでに100万ドル、第2弾の資金調達をしている間の運転資金としてプラス100万ドル。エンジェル投資家が必要だ。リードだ。
シリコンバレーで最も希少な資源は技術人材だ。立ち上げたばかりの無名の会社はトップ人材の誘致に苦労することがある。だがリードには、ピュア・エイトリアの買収を成功させたおかげで影響力があり、やがてCTOとなる人材を引き合わせてくれた。
実際には、現実の顧客に揉まれて生き残る事業計画など1つもない。だからアイデアをなるべく早く現実と出合う衝突コースにのせるのが肝要だ。