個人情報を集め、マネタイズの道具にしているGAFAを代表するプラットフォーマーへの反発が広がっている。ブロックチェーンの発展によって、今後はGAFAによる中央集権的なインターネットは変貌していくと説き、これからの世界を展望する一冊。
■インターネットから信頼が失われている
GAFAを代表格とする、シリコンバレーのプラットフォーマーたちの企業倫理に疑念の目が向けられている。この疑念はそれらの企業が利益を独占しているということだけではない。プラットフォーマーが主導する現在のインターネットから「信頼」が失われているという危惧が、世界中に広がっている。
かつてのインターネットの理念は、誰もがフラットに情報を共有できることだった。しかし検索エンジンやSNSが普及するにつれて、これらのプラットフォームを提供する企業の意図が、情報の流れを規定するようになってきた。検索エンジンなどによる検索結果にしても、サービスを提供するプラットフォーマーのアルゴリズムやアーキテクチャによって、それは左右される。さらにフェイスブックやツイッターでは、爆発的に情報を拡散するための仕組みが実装されているが、情報の正誤が確かめられることなく、誤った情報が世界中に広がっていくなど、検証を担保する仕組みが欠けている。
GAFAへの反発が顕在化している。フェイクニュースから情報漏洩、はては「監視資本主義」と言われる統治と経済活動を含む資本主義のシステムのあり方にまで、様々な議論や反対活動が世界各地で繰り広げられている。
インターネットはその出自から「分散」に向かって進んできた。時代を経て、GAFAに代表される中央集権的なプラットフォーマーが登場し、彼らのおかげで私たちは多大な利便性を享受した一方、自由なはずのインターネットから「信頼」が失われ、もてる者ともたざる者との経済および技術的な格差や、情報の不均衡、思想の対立構造が広がりつつある。
GAFA的なビジネスモデルに抗う手段であり、インターネットに「信頼」を取り戻せる可能性のある技術として、ブロックチェーンが存在する。その本質は、中央集権的な存在に頼ることなくシステムとしての「信頼」を担保できることにある。ブロックチェーンは期待に比し、誰もが体験できる社会実感が少ないので「幻滅期」だと言われるが、その裏では巨大な胎動が起きている。国内外では多くの実証実験が行われている。
著者 小林 弘人
1965年生まれ。インフォバーン共同創業者・代表取締役CVO 『ワイアード』『サイゾー』『ギズモード・ジャパン』など、紙とウェブの両分野で多くの媒体を創刊。1998年にデジタルエージェンシー企業・インフォバーンを創業。 2016年よりベルリンのテクノロジー・カンファレンス「TOA(Tech Open Air)」の日本公式パートナー。2017年、Israeli Blockchain Associationのアドバイザー、2018年より広島県のAI/IoT実証プラットフォーム事業「ひろしまサンドボックス」審査員、2019年長野県の信州ITバレー構想のアンバサダーに就任。2018年、企業と自治体のインキュベーションを支援するUnchainedを創設。
帯 マネックスグループCEO 松本 大 |
帯2 「ワイアード」日本版編集長 松島 倫明 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.1 | 2分 | |
第1章 「信頼」が失われたインターネット | p.13 | 32分 | |
第2章 ブロックチェーンの本質を見誤るな | p.67 | 26分 | |
第3章 After GAFAのビジネスモデル | p.111 | 30分 | |
第4章 デジタルはすでにピークアウトした | p.161 | 30分 | |
第5章 「オルタナティブな価値」のつくり方 | p.211 | 28分 | |
第6章 「重ねる革命」と日本の選択 | p.259 | 31分 | |
あとがき | p.311 | 2分 |
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