テクノロジーの進化によって、住む人を取り巻くあらゆるモノやサービスが、人間中心に再設計される時代が到来する。これまでの都市の発展を振り返りながら、これからの未来の都市のあり方を考察している一冊。
■Society5.0
20世紀は鉄道や自動車、航空機など交通の進展や、建設技術の発達に支えられた都市化の時代だった。都市化は産業の高度化、サービス化を促し、かつてない経済成長を人類にもたらした。だが今、都市は新たなターニングポイントに直面しつつある。
「Society5.0」とは日本政府による科学技術政策の基本方針の1つで、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステム」により、「経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」と定義されている。その社会ではIoTによって人とモノが繋がり、様々な知識や情報が共有され、AIによって必要な情報が必要な時に提供されるというものだ。
だが、「Society5.0」で謳われているIoTやAIといった技術的な側面は、都市が抱える課題を解決し、都市のあり方を変革するという観点では、一側面のものでしかない。
都市の持続可能性を担保する上では、まず都市を人間拡張の最大形態として捉えることが不可欠である。都市は、人間自らの拡張としてのテクノロジーによって構築される限りにおいては、人間がつくり得る、人間拡張の最大形態と言える。
著者 葉村 真樹
東京都市大学総合研究所教授 未来都市研究機構機構長 Google日本法人にて経営企画室兼営業戦略企画部統括部長、ソフトバンクにてiPhone事業推進室長、Twitter日本法人にて広告事業統括および東アジアのブランド戦略統括を歴任。 世界最大の広告会社WPP傘下のデジタルエージェンシーAKQA日本法人代表、PwCコンサルティング エクスペリエンスセンター長、LINE執行役員 (広告事業戦略担当)を経て現職。 富士総合研究所(現みずほ総合研究所)で研究員としてキャリアをスタート。博報堂在籍時には、ストラテジックプランナーとしてNYフェスティバルAME賞、MAA The GLOBES Awards金賞、マーケティング朝日賞大賞などを受賞。
著者 東京都市大学 総合研究所 未来都市研究機構東京都市大学を横断する全学組織として、魅力ある未来都市の創生、住民の高齢化やインフラの老朽化といった諸問題の解決に向けた研究と実践を、課題先進国である日本として国内外に情報発信することを目的として設立。
帯 執筆家 尾原 和啓 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 なぜ今、「都市」なのか? | p.8 | 12分 | |
第1章 都市は人間の「脳」の拡張として誕生した | p.26 | 25分 | |
第2章 都市という名の人間拡張が加速した時代 | p.58 | 25分 | |
第3章 サイバーとフィジカルが融合する時代 | p.90 | 29分 | |
第4章 ビッグデータによる「都市の脈動」の把握 | p.128 | 14分 | |
第5章 IoTとAIによるインフラマネジメントの一大変革 | p.146 | 19分 | |
第6章 IoTとAIによる人間中心の都市像 | p.170 | 16分 | |
第7章 都市を人間中心で設計する:MaaSからCaaSへ | p.192 | 20分 | |
第8章 コミュニティ創造による「個人の都市」の実現 | p.218 | 23分 | |
第9章 グリーンインフラによる都市の持続的成長 | p.248 | 26分 | |
終 章 アーバン・デジタルトランスフォメーションの時代に | p.282 | 12分 |