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2020/04/30更新

世界は贈与でできている――資本主義の「すきま」を埋める倫理学 (NewsPicksパブリッシング)

189分

2P

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贈与によってのみ人はつながりをつくることができる

ギブ&テイクだけでは、人はつながりを作れない。贈与という行為によってのみ、人は信頼を獲得し、つながりを構築できると説き、資本主義の限界や人が金銭以外の対価を求める理由を紹介しています。


■他者からの贈与でしか本当に大切なものは手に入らない
私達が必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないもの及びその移動を「贈与」と呼ぶ。それは、商品やサービスという「市場に登場するもの」とは異なる。

欲しいものがあるなら各々が自分で買えばいいのに、私たちはプレゼントという慣習を持っている。それは、誰かからプレゼントとして手渡された瞬間に「モノ」がモノでなくなるからである。もし自分で買えば、それほど高価であっても、「モノ」としての存在を超えることができない。

モノは、誰かから贈られた瞬間に、たった1つしかない特別な存在に変貌する。贈与とは、モノを「モノではないもの」へと変貌させる創造的行為である。だから、私達は他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることができない。

超短要約

■人間は贈与を前提に進化してきた
霊長類の骨格は元々、四足歩行に適していた。人間が四足歩行から直立歩行に移行するには腰回り、つまり骨盤を細める必要があり、それに伴って女性は産道が狭くなった。一方、人間は他の動物よりもずっと大きな脳を獲得しつつあり、人間の赤ちゃんは大きな脳を携えながら、狭くなった産道を通って生まれてこなければならなくなった。

人間は進化によって「頭が大きくなる前の段階で出産する」という道を選んだ。そのため、出産後、成長途中の未熟な乳幼児を抱えた母親は数年間にわたって食べ物を自身の力で採集することができず。子育てを周囲の人間に手伝ってもらわなければならなくなった。それと同時に人間は子供を育てるために、仲間と力を合わせること、社会的絆を結ぶ能力を発達させた。人間は、最初から見返りを求めず助け合える関係性、「他者からの贈与」「他者への贈与」を前提として生きてゆくことを運命付けられている。

著者 近内悠太

1985年生まれ。教育者 哲学研究者 専門はウィトゲンシュタイン哲学。 リベラルアーツを主軸にした総合型学習塾「知窓学舎」講師。教養と哲学を教育の現場から立ち上げ、学問分野を越境する「知のマッシュアップ」を実践している。

この本を推薦しているメディア・人物

帯
脳科学者 茂木 健一郎

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.2 4分
第1章 What Money Can't Buy――「お金で買えないもの」の正体 p.15 19分
第2章 ギブ&テイクの限界点 p.47 14分
第3章 贈与が「呪い」になるとき p.71 14分
第4章 サンタクロースの正体 p.95 14分
第5章 僕らは言語ゲームを生きている p.119 11分
第6章 「常識を疑え」を疑え p.137 18分
第7章 世界と出会い直すための「逸脱的思考」 p.167 12分
第8章 アンサング・ヒーローが支える日常 p.187 17分
第9章 贈与のメッセンジャー p.215 18分
あとがき p.245 4分

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