世界的にブームとなっているウイスキーの歴史と現在を紹介している一冊。ウイスキーとはそもそもどのように作られるようになったのか、なぜ日本のウイスキーが人気なのかなど、ウイスキーに詳しくなります。
■ウイスキーの起源
ウイスキーを意味する蒸留酒が、文献に初めて登場するのは15世紀。1494年のスコットランド王室財務係の記録に「王命により修道士ジョン・コーに8ボルの麦芽を与えアクアヴィテをつくらしむ」となる。アクアヴィテは、ラテン語で「生命の水」を意味し、多くの蒸留酒の語源となった。世界で初めてウイスキーの蒸留が行われた地域は判明していないが、蒸留法がアイルランドからスコットランドへと伝えられたと推測されている。
当時、ウイスキーづくりは主に修道院で行われていたが、16世紀のはじめに宗教改革が起こり、修道士たちがスコットランドを追われることで、技術が民間に伝わった。当時は、蒸留したままの色のついていない粗い酒だったと考えられている。
ウイスキーは未来のお酒である。スコッチの定義では、3年熟成すれば商品化が可能であるが、3年で瓶詰めすることは普通ありえない。「スコッチ」として楽しめるレベルになるのは、早くても7〜8年はかかる。原酒や樽、熟成の環境にもよるが、20〜30年かけてようやく熟成のピークを迎えるものも少なくない。
次の世代にバトンを確実に渡すために、苦しくても、自身で味わえなくても、原酒をつくり続ける。ウイスキーとはそういうお酒である。
著者 土屋 守
1954年生まれ。作家、ジャーナリスト ウイスキー評論家 ウイスキー文化研究所代表。フォトジャーナリスト、新潮社『FOCUS』編集部などを経て、1987年に渡英。1988年から4年間、日本語月刊情報誌『ジャーニー』の編集長を務める。取材で行ったスコットランドで初めてスコッチのシングルモルトと出会い、スコッチにのめり込む。 日本初のウイスキー専門誌『The Whisky World』『ウイスキー通信』の編集長として活躍し、現在はその2つを融合させた新雑誌『Whisky Galore』の編集長を務める。 1998年、ハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人として選ばれる。
帯 脳科学者 茂木 健一郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 2分 | |
第1章 ウイスキーの味は「偶然」から生まれた | p.17 | 6分 | |
第2章 ウイスキーの歴史はグレンリベットの歴史である | p.29 | 8分 | |
第3章 ブレンデッドウイスキーが「黄金の10年」を生む | p.45 | 8分 | |
第4章 無限の広がりを生む、シングルモルトの誕生 | p.61 | 7分 | |
第5章 「黄金の10年」の再来を呼ぶクラフトウイスキー | p.79 | 15分 | |
第6章 なぜジャパニーズウイスキーは世界で人気なのか | p.109 | 11分 | |
第7章 クラフトウイスキーのキーワード「地域の活性化」 | p.131 | 6分 | |
第8章 「アイリッシュ」という独自の味わいを知る | p.143 | 7分 | |
第9章 オークションでウイスキーが話題をさらう | p.161 | 5分 | |
第10章 世界最高「約2億円」の値がついたマッカラン | p.171 | 6分 | |
第11章 ウイスキーが投資対象になる理由 | p.183 | 5分 | |
第12章 今なお進化するウイスキー | p.193 | 18分 | |
おわりに | p.230 | 2分 |